舞台『LUNGS』を忘れたくないだけ
2021年12月23日、神山智洋さん主演舞台『LUNGS』が千穐楽を迎えてから早いもので1週間以上が経ちました。
なんとも時間の経過が早い年の瀬、クリスマスなんてなかった。
サンタさんは今年も来てくれなかったし。
Lovely X'masは10回聞きました。本当はもっと聞きました。
なんて言ってる間に年をまたいでしまった。
このブログは2021年に置いてくるつもりだったのに、2022年まで連れてきてしまいました。嘘でしょう。どうして。
とにかく、とにかくですよ、LUNGSで見た事感じたことは忘れたくないなぁと思ったので思い出せる限り記憶の中のLUNGSを書き留めて置くことにして書き始めたはずなので、年は開けましたが、どうしようもないので続けます。
大筋はカップルの喧嘩、夫婦漫談みたいなところもある。なんてことをブログやインタビューで発信されていて。
「子供を持つか持たないか」そのテーマが自分の中での答えとして「自分は持つべきではない」が明確にあったので、正直なところ観劇する前からどこか不安はありました。
この作品を見て私は健やかに帰って来られるのか、物理的にも、精神的にも。とは言え、とは言えこれはエンタメ。初めての自担の舞台、なんやかんや言ってもとっても楽しみにしてました。
個人的初日は11月8日、大阪公演。
ランチだけ仕事してダッシュで大阪入り。ホテルの部屋が広くて持て余しまくった。
開演時間近づくにつれて緊張しすぎてギリギリまでホテルに引きこもってました。危うく寝落ちるところだった。
危険、快適なホテル。危険。
始まってしまえば100分なんて時間はあっという間で、ほんの一瞬。
瞬きさえも忘れてしまいそうなほどの一瞬の出来事みたいだった。
でも結論から言うとこの日、私は上手く帰れなかった。
とにかくしんどかった。何がって言うとあの小さな円形の舞台を世界の尺図として起こったこと全てが。
もちろん笑えたし、面白かったし、楽しかった。でもこの感情って全部少しずつ時間が経ってから漸く捻り出した答えで。
本当に何かをプチッ、と小気味良く音を鳴らして潰したみたいに。一つ一つ整理して一つ一つ咀嚼してあれやこれを潰して成形して漸くやっと、出てきたあれそれで。
正直ほんと、明日もこれ観るの?
って言うのが一番だった。
実直な感情やいろんな思考が飛び交ってぶつかり合ってすれ違って複雑にでも単純に絡まりあって解けないような舞台で、
観劇後は身体の力が抜けたというか、頭はあれこれ色々考えるのに、身体の力は抜けた。
思い出してあそこ良かったなここ良かったな。なんて感慨に耽って泣くようなことでもなく、ただただ感情的に歪に並べられた現実のあれこれに強制シャットダウン状態。
「エンタメを浴びた」という衝撃よりは「現実を突きつけられた」鈍痛が走ったような舞台、でした。私にとっては。
紙で指切った時みたいな。切れ味の悪いもので切れた時のじんじん痺れるみたいな痛みがあった。
そんな感覚。
9月末に観劇した小瀧さん主演舞台『検察側の証人』の時は誰かが嘘をついている、何かが噛み合わない、あのセリフとこのセリフがうわぁそっか〜〜〜っ!!!みたいなこう、正解に向かっていくドキドキ感とワクワク感。
もちろんその中にもあのシーンのあの人の心情は?とか正解はあってないようなものなんですが、今回まさにその手立てもないんだなって言う。
そう思えば神山さん各インタビューで「100%説明はしない、ある程度の余白を残す。」「70~80%しか説明をしない、20~30%の余白を観た方が埋めて100%にする」って、言ってたこと、これを日々なるほどこういうことかと酷く実感してます。
大阪での観劇初日から東京公演初日、千穐楽、それから1週間以上経ってる今でも余白はまだまだ埋められていなかったり、逆に自分の価値観だけで塗り固めてるような部分も出てきてたり。
でもきっとこれがこの舞台に於いての『正解の一つ』だろうとも思うので、まあ、それはそれでいいのかな。
でも自分の価値観とか感覚だけで塗り固めるのってそれはそれで面白くなかったりするよね。
だからいろんな人のいろんな聞きたい。
わかりあえる感情とわかりあえない感情があって、現実的で非現実的。この世界ではありふれてることかもしれないけどただの一個人としてはありえない。
常に対になるような感情がぐるぐる巡って、だから何も分からなかった。
パートナーがいないから、子供がいないから、その辺りの点と点掻き集めて並べてみても線で結べるような理想像もないから、だからそうなのかもしれないしわからない。
私が見ている結婚している人は父と母だし、その子供が自分で、その出来がこれで、ってなると子供が欲しいとも到底思えないし結婚したい理想も理由もない、それを見つけるのも難しい。
例えば自分に子供がいたとして、なんて想像するのも難しいし、実際想像する、考える、そんなことしようとも思わないくらい。
そんな私がこのLUNGSで思ったこと、を、とにかく書き留めておこう、と、思いました。
あ、はい、ここからです。ここまで前振りです。長いね。
この先「面白い!」「すごい!」「楽しい!」「可愛い!」で突き進んでいきます。小学生の感想文だとでも思ってください。
私のとびっきりの冬の思い出。
物語が始まる前に演者のお二人が登場して挨拶だったり、ストレッチなんかをしてから呼吸を変えて物語が進んでいくの、初めて見た。
数回入らせてもらったけど本当に、いろいろ。
ゆっくりじっくり時間かけて満を持しての「トゥース」を披露する神山智洋さん。
「ここボケたなんねん」なんて言いつつ座って太ももさすってる姿はリア突でオープニングボケについて言及されるそれ。
直前でゆっくり出たろ。と思ったみたいです。
ストレッチついでにバレエのレッスンしてる日もあった。
佳恵さんがバレエ経験者で後ろで煽られてましたけど。
佳恵さんの背中押して佳恵さん先に舞台立たせようと奮闘してる日もあった。
「だっていつも俺から出てるから」
なん、仲良しか?微笑ましい。
東京初日は客席正面を向いている佳恵さんをみてジタバタと舞台裏にはけてく神山さんがいました。
「バレたか」なんて言いつつ戻ってくる神山さんですが、なんかもう、足音足音。バタバタしてましたって。どうしたんですか。そりゃバレるって。
「囲み取材の時の仕返ししたろうと思って」と言うのが神山さんの主張。
「谷さんと佳恵ちゃん走ってはけて」
「写真なっとったなぁ!」
「取り残されたことに気づいていない神山智洋」
神山智洋、単独初主演舞台で意外な作品からヒント「メンバーに褒められたい」願望も | マイナビニュース
神山さんて佳恵さんのこと佳恵ちゃんって呼んでるんだ、ってところと、神山さんの口から発せられる「取り残されたことに気づいていない神山智洋」という文言に愛しさが振り切れるところからスタートした東京初日。
残り3公演、そんな21日昼公演では
「あと3回やって」と、おセンチモードな神山さん。に、対して「早ない?寂しいの?」な佳恵さん。
「寂しいし、」って話してる神山さん、寂しいとか言えちゃうそういうところが好きなんだ。
「33が3やで」「もう30回もやった」
なんて。
この時点でもう、佳恵さんは始めたがってる。
「ここで緊張するから」なんて主張にも「俺は逆にリラックスしてる」なんて神山さん。
仲良しか?可愛い。
「始めてて」とまで言い始めて未だに座ってる神山さんと、「ここからスタートすんで?」と割とガチめなお顔で音響照明にもゴーサインだすのでさすがに位置に着いた、と思ったら噎せる神山さん。
「水飲んでくる?」って声かけてくれる佳恵さんと「飲んでくるけどまた長なんで」と言いつつ舞台裏はけてく神山さん。
舞台には佳恵さんひとり。
「繋ぎとか全然出来ない」と言いつつ神山さん待ち。
このタイミングでかかってるBGMが3分40秒あるはずなのに、この公演ではそのBGMも切れるくらい引っ張ってたらしいこのオープニング。
千穐楽では「久々に緊張してる」と話す神山さん。
その言葉でこちらも緊張、ギュッと引き締まる思いで。
「これで一つ一つセリフが終わってく」とも言っていて、だから尚更、セリフの一つ一つを覚えておきたいなと思って、思い出せる限りのセリフを並べることにして、このブログも書こう、と決めました。
ただ『LUNGS』を忘れたくないだけ。 - 真っ赤なコードが絡まった
これはただセリフを並べただけ。
こんなのだって大まかにしか書き出せてないけど。
彼女の「赤ちゃん?!」から物語が始まる。
「深呼吸」彼のかける声。
あれだけ笑ったりしていた二人が位置について、大きく息を吸って、呼吸と共にセリフで世界が変わる。
神山さんと佳恵さんの立っていた舞台が一組のカップルの世界に変わる。
そうなんか、幕が上がった、そんな感じ。
「このこと切り出すのは君の方だと思ってたよね、準備できてるよって僕にプレッシャーかけてさ」
なんて彼の言葉があったけど、確かに彼女は子供を持つことに対して反対、って言うわけでもなかったんだなと。
ただ今のこの世界に子供を産み落とすこと、妊娠出産に伴って女性の体に起こる変化、これがこの話での棘みたいなものだったんだなって。
彼はどのタイミングで「赤ちゃん」の話を切り出したんだろう。
ベビーカーを押して歩いている人を見た、赤ちゃんを抱いてる人を見た、ベビー用品を見た。
僕たちもそろそろ、って?切り出す、って言うからちゃんと彼女に「赤ちゃんが欲しい」話をしたんだろうけど。
「二人で話をしてる」
「あなたが今ここで切り出した話」
「僕が今切り出そうとした話」
「あなたが今ここで切り出そうと決めた話」
「話し合い」か「言い合い」か「会話」かこの話の中でそんなセリフが何度か出てきた。
この二人だと、感情的に言葉が溢れ出てきてぶつけてる、場面が多くて結局その大半は「言い合い」だった気がする。
でもその「言い合い」の中でも彼の雰囲気が彼女を包み込むみたいにふわっ、と柔んだりするのが好きだった。
「じゃあもう一回言って聞こえなかったから、私はカートを押してランプを抱えて息もできなかったから!」
「だいたい分かったでしょ!」
「と、思う」
「さっきほどビビらないかもね」
「参ったな、参りました!」
この「参ったな、参りました」って彼女が反論できなくなる場面が劇中2回。
他にも言い返せない場面はあったけど明確に彼女が白旗を振ったようなところがここと、後半に1回。
「君の意見が聞きたい。どうぞ?」
この「どうぞ?」が柔らかくて優しくて彼女のこと大切なんだろうなって思えて彼女の意見を聞く姿勢があってこの舞台の中の彼の言葉としてはすごく好き。
まあこの後すぐ彼女のターンに戻ってくけど。
「こんなの顔面パンチの後に数学の問題を解けって言ってるようなもの。こんなことして私が理性的に答えられると思わないで」
「高層ビルの上から」とか「顔面パンチのあとに数学の問題を解け」とか、彼女の比喩表現てオーバーで過激だけど端的でわかりやすいよなぁって。
ビビってる、とか衝撃だとかそういうの。
「声に出しながら考えるから私が間違ってることとか馬鹿みたいなこと言っても割り込まないで聞いて。私に考えさせて。」
後半で彼が彼女について「ただそこにじっと立つ僕を信頼してる」って言葉が出てくるけど、ここもそうなのかなって。
ただ黙って自分の意見を聞いて欲しい、聞いてくれる信頼感がある。
だから彼女はここまで言葉をぶつけられるのかな、とも思う。彼が受け止めてくれると思ってるから。
実際彼が彼女の言葉の一つ一つ受け止めきれてないとしても。
「抽象的なこと言うと私だってずっと欲しかった。私はそういうタイプの人間なんだって。それが人生における私の目的、地球における私の役割なんだって。
あなたと出会うずっと前、お人形さん遊びしてた小さい女の子だった頃から」
この舞台見る前までは「彼女は子供を望んでない」もんだと思ってました。
でも実際にそうじゃないって言うのがこの辺りで「ずっと欲しかった」とか「楽しみ」とかそういう言葉が出てきて。
問題点は「今の環境」と「変化」なんだなぁって。
「そこにはいつも父親の存在があって、それはどこの誰かもわからない人で」
「僕は?」
の流れ急に可愛らしくて好きでした。
うんうん、君が彼女の子供の父親になりたいって話してるんだもんねどこの誰かもわからない人とかいわれたらびっくりしちゃうよね。
「重大さ」
「重大さ、そう、重大さ。よくできましたね、じょおず」
って彼女が彼にいい子いい子よしよしするの、「母と子」みたいに描かれてるなぁって。
インタビューで結局男はちょっとアホなんですよねって言ってたあたりにあぁ〜、、、ともなりました。
このあたりでも出てくる彼の「深呼吸」って言葉。
言葉通り大きく息を吸って、吸ったところで彼女の言葉の切れ味が増すだけなのが面白いなぁって。
むしろ深呼吸で頭クリアになってスパッと切りつけてるような。
ところで彼女の自宅に居るであろう小動物らしき生命体はわんちゃんだと思います?ねこちゃんだと思います?他のなにか?
彼は見向きもされてなかったような気がするけど。
「あなたは私と同じことを心配してる」
私と同じことを心配してる彼、のことが彼女は好きだったのかな。
見ているものが同じ、価値観が似てる。そんな彼。
「世界にはいい人間が必要だ」
彼が自分の言葉を口にし始めると彼女の顔が明るくなってわくわくしてる子供をみたいに見えた。
前のめりになって、考えて話をする彼の言葉の先を考えようとするみたいな。
二人とも相手が話す時の基本姿勢が前のめりで、彼が、彼女が何を話すのか、楽しんでるような、聞き入れようとしてるんだなって。
でも彼は彼女と話をするとき、自分の太ももをさすったりして落ち着きがないことが多かった気がする。
この場面の後半もそう。
言葉を選んで、並べて、彼女の機嫌も伺ったりして、緊張してるようなそんな。
最終的に「僕にどうして欲しいのさ」って拗ねたような口調になっちゃうのも子供感。
「いいから黙ってぎゅっとして」って言われた時は驚いたような、理解できないようなそんな顔。
両手上げて両足伸ばしてハグ待ちの彼女が可愛い。
「養子をもらおう」って言われたあとの「黙ってぎゅっとして」を実践してる彼。
黙ってぎゅっとしてって言われたもんね。黙ってぎゅっとしてるね。
「私がどうしてもやりたあことだったとしても?」
「その時は話し合おう」
「けどそうはしないんだ?」
「うん」
ってまた抱きしめ直す彼も、抱きしめられてる彼女も、むっ…っとした同じような顔してる二人が可愛らしかった。
この後のこのカップルの距離感が、大阪の時より東京の方がグッと近づいていてとってもほっこりした。
向き合ってぎゅっとした彼女の髪をいじる指先とか、彼の襟足とか耳に触れて遊んでる彼女の手とか。
「セックスはちゃんとする、壊されたくないもの私たち」って、回を重ねるごとに彼が彼女を茶化すみたいな仕草が増えてた気がする。
彼女が彼の腕を叩き返してたりする距離感。
わ!わ!!!仲良しになってる!!!(大歓喜)
この後も二人で手遊びしながら話してる時もあれば、つつき回してる日もあったし、頬をつまむような仕草の日もあったり。
わぁ!!!仲良しになってる!!!!!!(大歓喜)
このシーン本当に可愛くて大切で大好き。
ここでやっと、会話が生まれた気がする。
「この事考えるにはまだ若すぎる?」って聞く時の彼の声もとても穏やかで優しくて彼女としっかり向き合ってて。
彼とお父さん、彼女とママの関係がほんの少しだけ言葉にされてたりもした。
「子供が面倒を起こしたり賞を取ったりしないと目もくれない父親」
「子供を通して生きるママ」
こうなるかも、って不安。こうはなりたくない、って気持ち。
でもお互いに「あなたはあなたのパパとは違う」「君は君のお母さんとは違う」ってきっとそうはならないよって伝え合って。
この後彼女が「新しい人間を作りましょう」って言ったのが初めに話してた時から1週間。
それから彼女がストップ、をかけた時が「もう何週間も待った」って彼の言葉的に1週間ではなさそうだし2週間、3週間。
話始めて1ヶ月弱くらいの時間経過なのかな。
ストップさせた彼女の「あなただけのせいじゃないから」に対する「何がせい、なんの」って語気の強さと語呂の良さがなんとなく好きでした。
これは話関係ないけどなんか語呂良くないです?
いや、うん、そんなことはいい、いい。
「美しいこと」「素敵」「奇跡」
このあたりで彼女の口から発せられる言葉を打ち消すのが同じように彼女の口から発せられる「こわい」って言葉。
彼女に「こわい」って言われたあと、話をしてる時の彼の手つきって割と雑な感じ。彼女の腕を掴むとか、腰を引き寄せるとか、男性の力、だけある感じ。
「時々たまらなく欲しくなる」が、正に今この時でもあるんだろうなと。
この先にある一瞬。その事だけを考えてる。
「私が欲しいのは、繋がり?」って言葉のところ、彼女は彼の手を握ってることが多かったけど、私が見た中では1公演だけ彼の手を取らなかった時があった。
彼が自分の腰に手当ててたからってだけなんですけど。
これはただのメモ。
この後彼がまた彼女を押し倒してたところ、彼の手は雑だけど愛しさがあった気がする。
「危険?」の声のトーンにはシンプルにゔぁ゛ッッッ………となりました。
ゔぁ゛ッッッ………
話を戻します。たまに脱線する。思ったこと全部書いてるからそうなる。仕方ない。話を戻します。
彼女の頭に触れる手とか、撫でる仕草、手を握る、指に髪を絡ませる。彼女の言うようにきっと世界で巻き起こる事なんかどうでもいい、二人の世界で二人が宇宙。
お互いがお互いに夢中な様。
でも最初でビビってる、ビビってない、そう言っていた彼女がもう明確に「恐怖」を感じてることがどんどん抑えられなくなってる。
これってきっと彼との行為が、であってそうじゃなくて、その先にある「妊娠」「出産」「子育て」とかそういうものへの未知なる恐怖でもあるのかなって。
「オナニーなんてしないから」
って彼のセリフ、大阪と東京で随分雰囲気変わってた気がする。
大阪は割とキレ気味っていうか、ぶっきらぼうで構わないで、みたいな雰囲気。
東京は少しだけそれも和らいでて、ぶっきらぼうって感じはしなくて、むしろちょっと明るく振舞ってる、くらいまであった。
翌朝、彼からの引越しの提案。「木を植えるんだ。君の言う通り、やるべき事をやるんだ」って言葉に、彼女はやっぱり少女みたいにキラキラした顔をする。
ワクワクしたキラキラな顔をして「結婚しよう。」
うん、うん、しよう、私としよう、私はもうあなたに夢中です。
でもきっと私じゃダメなんだ、勝手に失恋しときます。
長すぎてちょっと飽きてきてるの気づきます?
続けますけど。
「あなたの1番のファンは私よ〜、知ってるでしょ。」
ここも、冒頭のシーンであったみたいに、「母と子」っぽいなぁと。
この朝食のシーンも、大阪と東京でかわってた。
大阪は朝食を食べる仕草、は無かったような気がするけど東京では食べる仕草があった。
「もう既に僕たちどこか平等じゃないって感じてる」彼がそんな不安を話してる時も彼女は嬉しそうな顔して「自分の不安な気持ちを話してる」「そういうの嬉しい」って言ってる。
不安とか、そういう弱いところさらけ出してくれるのも嬉しいのかな。
出産話に食欲無くなった彼に「どうしたの?」って聞く時もにこにこ笑って彼の顔見ようとしたり、ちょっとおちょくってるみたい言い方になる。
でも馬鹿にするみたいなのではない。嬉しいような、楽しいような。
「タバコやめなよ」
「なにかの中毒になったことないのよ」
「そのふたつの衝動って僕からすればまるで」
前日の話の流れ的に彼がここで例えようとした衝動ってセックスなんだろうな。
でもこの話の後彼は就活して、彼女はたぶんタバコを控えてる。
ちゃんと話し合ったんだなぁって。きっと言い合い、じゃなくて話し合い。いやどうだろ、言い合いもあっただろうな。この二人なら。
「生理きた」って泣きそうな彼女に「仕事休もうか?」って提案する彼。早く仕事行きなさい。
「早く行って終わったら早く帰ってきてケーキも」
って送り出した彼女だけど、彼が帰ってきたら「寂しかった」ってベタベタに甘えてるの可愛い。
「仕事についていけたらいいのに」
って準備してる彼のこと後ろからぎゅうぅうってしてる彼女めちゃくちゃ可愛い。
このあたりの彼女甘えたモードで可愛かったので語尾が可愛いになってきた。
「毎週曜日決めてランチしようか、火曜日」って彼の提案に、火曜日は彼女がピクニックの用意して待ってる。
彼は忘れてるけど。
「打ち合わせがあるんだ。僕が提案したんだ」
火曜日ランチもあなたが提案したのでは?と思いつつ。
「サボっちゃえ」にもそれは良くない、良くないよ。
転換点はとっくに超えていて今するべきは適応と軽減そしてあとはただもう心の準備。
洪水。干ばつ。ハリケーン。食糧難。水道民営化。大量絶滅。財政破綻。政情不安。戦争。
絶対的な大災害を回避し2030年までもつのか。
佳恵さんのアドリブのターンで正直ここの内容ほっとんど聞いてなかった。
神山さんの動きをとにかくオーバーに真似してみたり。
片膝ついて「ヨッ!」って煽ってみたり。
煽ってる佳恵さん止めるのに頬に触れようとした手が止まって肩に落ちたのが、女性に対する神山さんが出ててとても風情がありました。
公演中何度か頬に手が伸びたことはあったけど実際に触れたことは無かった気がする。え、スキ。
東京初日はとにかく思いっきりおしりを叩いてましたね。
すっごいいい音した。すっごいいい音したと思ったら神山さんも悶えてジタバタしてるし佳恵さん普通に「大丈夫?」って聞いちゃうし可愛かった。
神山さんおしり大事にしてね。
膝カックンしてる時もあった。
数回膝カックン繰り返して、神山さんが来い来い、って佳恵さん煽りだしたと思ったら膝ロックしてカックン出来ない。
かたい!かたい!ってしゃがみこんで膝裏コンコンしてみたり押したりしてみる佳恵さん愛しい。
最終的に寝転んで神山さんの視界に出現して「セックス、セックスしよ」って次のセリフ。
シャツ被ってカオナシしてる日もあった。
神山さんの背後でシャツ被ってカオナシする、フード被せる、払われる、被せる、払われる、被せる、払われるでやっと振り返ったら背後にカオナシ。
カオナシでひたすら神山さんの真似して
「明るいカオナシみたいやな」って言ってた日もあった。
明るいカオナシ。なにそれ。カワイイ。
「ウルトラマンの怪獣にそんなんおったな」って後半日程くらいからちょっとずつ感想落としてく神山智洋さんいて、え、スキ。
神山さんの周りに蚊が飛んでたり、
神山さんの前うろうろしてみたり。
「ちょ、被ってる」って退かす時もあったり。
千穐楽は佳恵さんが徐にサムズアップしてるので何してるんだろうなぁと思ったら『ええじゃないか』踊ってましたね。
「見覚えある動き」カワイイ。
佳恵さん気をつけさせたり、笑いすぎて佳恵さんに背中押されてたり、とにかく二人が可愛かった。
とにかく二人が可愛かったことだけ覚えてる。
「シュガーシロップ」のこのシーンだけ彼女がハグする時に彼のパーカーの中に手突っ込んでた。
どっか1公演だけ突っ込んでなかった気がするけど。
ここって、大阪だと彼は悩みに悩んでたと思うけど、東京だともう、完全に誘いに乗ってたように見えました。
鼻の下伸ばしてさ。
「大きなチェーン店じゃなくて小さなコーヒーショップを応援する」
「泥水みたいな味でも?」
「そうだった、ごめん」
過去にあったんだろうなぁ。
小さなコーヒーショップに入ったら美味しくなかったこと。それもちょっとした思い出として二人の中に残ってるなら微笑ましい。
「聞かないで、言わなきゃダメ?たまにクロスワード見るような目で私のこと見てる」
このブログ書いてる時にたまたま見たんですけど女性は言葉をしゃべらない赤ん坊の気持ちを察しながら子育てをするから男性より察する能力に長けてる。なんて話を聞いてはぁ、なるほど。
なんともやけに納得してしまうタイミング。
「僕にどうして欲しいのさ」「ヒントが欲しい」とか、彼は後半に向けてそんな言葉がよく出てきてた。
「いいから黙ってぎゅっとして」って言葉は既に出てて、後半に向けて彼女は彼にこうして欲しかった、そう吐露する場面が増えてくる。
3分待った妊娠検査薬の結果、を、二人が見た瞬間二人は衝撃で時間が止まったみたいに言葉を発しなくなる。
あれだけ話し合い、も言い合い、も繰り返してた二人がピタリと止まる。
それに反して時間が進んでいくみたいにステージが時計回りに半周。
彼は嬉しそうな顔だった。噛み締めて、心底嬉しそうな顔。
でも彼女はなんとも、嬉しそう、とは思えなかった。でもこの後話してる場面とか声のトーンとかでは嬉しそうではあった。
「はしゃぎすぎ?」って自分で言うくらいだから、嬉しかったんだろうなとは思うけど。
でも単純に嬉しそう、とは思えなかった。衝撃、とかそういうことなのかもしれない。
彼は本当に嬉しそうに彼女を振り返ったのに、そこからどう結論付けて「流産の可能性」っていう現実的だけど今この瞬間に触れるべきではないだろうそれに辿り着いたのかがわからない。
「無敵で無鉄砲」「完璧で小さな幸せのシャボン玉」
無敵で無鉄砲にでもならないとすぐにパシンと弾け散ってしまうような、そんな幸福感を彼女はこの時抱いていて、だからこそどうしてなんで、彼はそれを口にしたんだろう。
あとシンプルに彼女の母親のこと、というか誰かの母親のこと「クソ女」とか言うのやめときな??
いや彼女も散々言ってたからお互い様ではあるんだけど。うん、お互い様か。
お互いやめときな??
彼女のお母さん、彼のパパ、彼と彼女にとってネックだったものってここにもあるんだなって。
「実際君は僕のを妊娠してるんだ」って言い方も、これはなんて言うかとても嫌い。
二人ともなんだけど全体的にわりと「これ」とかちょっと無機物的というか、生命体としてそこにいるはずの小さな点に対してそんな言い回しが多いのがすごく気になった。
彼女の口から出る「映画イレイザーヘッド」どんなものなんだろう、なんて深夜に気軽にあらすじを調べたことは後悔した。
結局あらすじを読んでもよく理解できるような作品ではなかったし。
ただ「異形」の例えとして表現されてることだけは理解して。
まったく関係ないんですけど、映画イレイザーヘッドと、映画エレファントマン、どちらも同監督の作品だと知れたのはちょっと面白いなって思った。
神山さんの主演舞台のセリフの中にある「イレイザーヘッド」と同監督が映画で描いた「エレファントマン」を舞台で演じた小瀧さん。
そんな偶然がなんかちょっと面白いなって。
「もっと色んな人と寝ておくべきだった」彼の大きな一人言の中にあるひとつ。
いやこいつ何言ってんの?って思ってたけど、この時の彼女の顔っていつも角度的に見えなくて。
彼女が眠っている中での一人言、なのか、彼女は起きていて彼の話をただ黙って聞いているだけなのか、どうなんだろうなと思ってた。
彼女の顔がようやく見えた公演で、眉しかめて一瞬彼の方を振り返ろうとする仕草が見えて。
やっぱ何言ってんのって思うよね?
「僕のせいで眠れない?」この問いかけには応えないけど。
このセリフの後、彼は結局起き上がって不安を吐露し始める。
それが悪いことだなんて思わないし備えておかなくちゃ考えておかなくちゃ、そんな二人が一緒にいることもわかる。
この彼のセリフから、ステージが動く。
彼女も起き上がるけど、これは彼の夢の中なのかな、って思う。
このシーンでだけ唯一彼は彼女のことを「君」とは呼ばずに「この人」って表現してた。
あとこの時も、彼と彼女は対極にいた。交わることの無い時間があった。
蹴った、蹴られた
これは本当に回を重ねる事にヒートアップしてましたね。
基本形はだいたいマリオ。基本形ってなに?
10日の夜はカズダンスしてたかな。マリオ居なかった。
あとはもう、舞台裏まで走ってったり、ステージ上這いずってみたり。
千穐楽に至っては頭強打して悶えてたり。
とにかく楽しそうだった。もちろんこっちも楽しかった。でも頭ぶつけるのはやめてね。
たまに佳恵さんに嫌がられたり、「帰っておいで」って呼び戻されたり。散々はしゃいで戻ったら佳恵さんは冷静に座って待っててくれたり。
「大丈夫?」って普通に心配されてる日もあって。
次のシーンはだいたい神山さん笑ってたし。
もう終わったよね?って感じで振り返ってる時もあった、どうぞどうぞ、って先に進める神山さんもいて。
とにかく可愛かったし毎公演めちゃくちゃ笑った。
笑いすぎて脇腹吊った。よく吊る。どうにかしたい。運動不足かな。知らんけど。
「もし子供が愛せなかったら?」そんなもしも、に不安を抱く彼女の隣に優しく腰掛けて手を握る。
「君はいい親になる。わかるよ。」って。
彼女がぎゅっとして欲しいとか、そういうこと、彼が自主的にちゃんと寄り添った唯一のシーンなのかもしれない。
「結婚しよう」「愛してる」そう彼に言う彼女の顔が顔面国宝級のイケメンで惚れさせていただきました。
勝手に失恋するので放っておいてください。お気になさらず。
「綺麗だよ」
「デブじゃない?」
「デブだし綺麗」
そう笑う穏やかな二人の雰囲気も好きだった。
優しいお父さんの顔。優しいママの顔。
でもこれはこの時だけ。
なんとも皮肉。
「外で待ってる」「ここにいて欲しいの」
それから彼の「わかった」
ここ、大阪より東京の方が彼は「ここにいる」ことを迷ってた気がする。
出産の話の時もそうだし、この後出てくる血管を開いて赤い文字で書く、そんなところでも彼は苦手なんだろうなと。
結局は彼女の望むように、「ここにいる」ことを選んでるけど。
あとここ、大阪は彼女が苦しいような痛々しい表情描写があって、東京ではそこがなくなってたような気がする。
無、に近い、そんな感じ。
それから「またタバコ吸えるね」って言葉と、彼の悔しそうな声。
「これでよかった」「二人で大きく息をする」「二人でシャンパンあけよう」「飛行機でどっかいこう」
「世界経済が完全に崩壊する前に自分たちのためにお金を使う」
こう彼女が言葉を落としていく時、彼女は一度も彼を見なかった。彼を見なかったけど、彼に縋るように触れた。ほんの一瞬。ただそこに居ることを確かめるみたいにただそれだけ。
ただ「本当にごめんなさい」って謝る彼女の姿はあまりにも痛々しかった。
「違うって言って。安心してるわけじゃないって、嘘でもいいから」
ここを最後に、彼と彼女の時間が分断されていく。
彼は時計回りに、彼女は反時計回りに時間が進む。
彼の時間だけが進んで、彼女は時間を戻そうとしているようにも、彼と彼女どちらの時間もそこからピタリと止まって動けずにいるようにも思えた。
まるで足踏み状態。
彼と彼女の時間は交わらない。彼と彼女の時間が交わるために必要だったものは会話、だったのかなって思うとこの時二人は会話を持ってない。
彼は常に彼女に接する時だけは明るく声を作ってた。でも拳を強く握ったり、彼女に話しかけていない時間の中では太ももを強く掻いたり殴ったり。どうにも出来ないもどかしい時間。不安とか、緊張とか、苛立ちとか。
「僕を罰してるみたいだ、僕に怒ってるんだ」
怒ってる、でも良かったのかもしれない彼にとっては。
彼にどうしようもなくぶつけていたら、言い合いも何も無いこの時間よりはよかったのかもしれない。
でも彼女はそれをしなかった。
実際彼女は彼に怒ってるわけでも、彼を罰してるわけでもないだろうから。
「考えて」「助けて」
これがこの時彼女が求めてたもの。
ただ黙って抱きしめて欲しかった、それを彼がしてたら、出来てたら、ここで二人が向かう道は何か出来てたのかな。
でも実際彼女が一貫して求めてるものってこの「繋がり」みたいなものなんだよなって。
「僕にとっても辛いことなんだ」
「あなたにとってはなんともないことなんて言ってない。あなたと私は同じ、二人とも同じ」
彼女が二人を同じ感覚だって表現するのは二人で話しをしていた時と、ここだった。
でもこれはただ「彼にかけるための言葉」ではあるんだろうなとも思う。
二人で話しをしている時は彼女のための、ここでは彼のための、そんな言葉に聞こえた。
「君はガラスの壁の向こう側にいて手が届かないそんな感じだから」
「君がどれだけ悲しんで怒っていてもそれは僕も感じてること。
僕達は未来を一緒に見ることだって出来てた。
それが突然強盗に奪われたみたい。
この馬鹿みたいに怒りに満ちた世界で生きなきゃいけない。
なのに僕の好きな人は、僕の親友は僕のことを見てもくれないし、僕も僕の顔を見ることが出来ない。」
「君が恋しいんだ」
だからと言って他の子とキスしていい理由にはならないし他の子とキスした宣言をここにする意味もわからない。
「僕はとめなかった、言わなかった僕には、なんでたまろう」
いや、知らん。
僕には彼女がいる、そう言って他の子を止めなかったかまって欲しい男だったからなのでは?
彼女の視界に入りたかった?彼女の頭の中に入れて欲しかった?彼女に自分のことを考えて欲しかった?
「ごめんね、何が必要か伝えてあげられなくて。わからなかったの、何が必要か。」
何が必要かわからない彼と、何が必要かわからない彼女と。交わらないというか。
でもどちらも、わかるわけないんだろうなとも思う。何が必要かなんて。
「ただ待っていて欲しかった。我慢強くいて欲しかった。私より勇敢でいて欲しかった。理解して欲しかった。理解していない時でも、一度でいいから引っ張って欲しかった。
流産するってどんな感じか分かろうとして欲しかった。あなたを必死で守ろうとしてること気づいて欲しかった。
何より他の子とキスなんてしないでほしかった。」
ただ黙ってぎゅっとして、そう言ってた彼女が彼にこうして欲しかった、って並べていく。
「我慢強く」「勇敢」「理解」明確、とも言い難いけど彼女の望んだこと。
彼は我慢強くはなかったし、彼女より臆病だった。引っ張るようなタイプではなくて、理解するまでに時間が必要だった。
彼が積極性を出したの、彼女とセックスする時だけでは?って印象が強い。
実際には引っ越そう、って提案してみたり、二人のために何かを諦める事も、自分で考えることだってしている人だった。でもなんでだろう、そう感じちゃう。
彼と彼女が再会した日、彼が初めて「君は大丈夫」明確に口にする。
これがこの後数回出てくる、二人一緒にいる時も口にしてた言葉だったのかな。
この日、彼も彼女もどちらも「僕たち」「私たち」をあえて「君と僕」「あなたと私」に言い直してたのが印象的だった。
付き合っていた時は「君と僕」「あなたと私」この二人以外に表現しようがなかった「僕たち」「私たち」があえて表現し直さないといけないような関係になってる時間の経過。
「いや、それは馬鹿だな。」
そう呟いた彼のその後の
「そうじゃない、つかれてるわけじゃない、寝てるだけなんだから。」
これが彼が誰に向けて言う言葉なのかがよくわからない。
「今は、君と、こうして」
悪魔の囁き、的な、それ。
「僕は後悔してない」
派遣ちゃんとキスした時は?後悔した?してない?
どっちもどっちです…もうどっちもどっち…
「教えてくれなくていいから彼女の名前」
「フィアンセ」
この間に「彼女じゃない」ってセリフがあった気がするけど、東京ではなくなってた。
「もう会うのはやめよう」
彼女がそう切り出した時、彼は「うん」とは言ってないなぁって。
この後公園で彼女を見つけて、彼が彼女に「いいから黙って!」そう、怒鳴るようなシーンで、会場の空気もピシッとしたように感じて、あ、あぁ、私はなんだかすごい人を好きになったんだなって実感した。
ここで実感するのどうなの?って思うけど、この、空気が変わる、ってすごいなって。
ところで「彼女にバレると思わなかった」って元カノ妊娠させて逆ギレかます男を演じる神山さんと、「君より15も若いんだ」って身を呈して男を守り抜いた女に言い捨てて若い女と一緒になる男を演じる小瀧さん、どう考えても好きすぎる。
「彼女と話したあと君の部屋に行っていい?そうしたいから、それに、他に行くところがない」
ちゃっかりしてんな、ちゃっかりしてますね。
彼女も彼女でどこかでそれを望んでたんだろうな、とは思う。
「これは僕だけのせいじゃない」
それはそう、それはそうだと思う。
彼だけのせいではない、彼女も同じ。彼と彼女はきっと同じ。
きっとずっと同じだった。
「私は彼女と婚約してない」
「僕ももうしてない」
「参ったな、参りました」
初めの方にもあったセリフが繰り返されてる。また何か、動き出すような。
そんな前触れのような。わからないけど。
彼女はここで彼のことを
「嘘つきで未熟で悪い人」
って表現するの、彼女が知ってる彼は正直で成熟で良い人、だったのかな。成熟って言うのとはきっと違うんだろうけど、そうなろうとはしていた、ような、そんな。
それにたしかに嘘をつくような場面は無かった。
ほら、他の子とキスしたのも言っちゃうし。
この「僕たち」からまた世界は二人で動き出してる。
君と僕、なんて言い直さない、君と僕しかいないんだから。
ここに飛び込めるってすごいな、って単純にそう思った。
一度は崩れ去ってるわけじゃない、信頼とか、そういう関係性が全部。
それこそ全く知らない何かからまた何かを生み出して形も正解も無いものを創り上げていかなきゃいけないそこに飛び込めるって。
「正しいと思うことをすればいい。自転車でどこへだって行く。もう飛行機には乗らないここに居ればいい」
ここで彼女がやっと彼をみて、いつか一緒にいた時みたいに少しだけ、キラキラしてみえた。
本当に彼女が望んでたことって彼と一緒にこの世界を生きることだったのかも、とか、そんな風にも思えた。
ここで時計回りに、彼と彼女の時間がようやく進み出す。
あの時から止まったままだったものが動き出したような、そんな感じ。
二人で同じ方向を見て、二人で同じものを見て。
彼女は妊娠した時一度目も二度目も
「自分の息子を通してあなたのお父さんがそこに見える」「成長して大勢の女がめそめそ泣く」
って自分の子が男の子だって前提で話してるのは何でなんだろうなぁって不思議なままなんだけど、実際に生まれた子供に対する接し方もなんとなく男の子なのかな〜って感じがした。
「君は大丈夫」
彼が最後に残した言葉。
この言葉が彼女にとっては「大丈夫」にしてくれる魔法みたいな言葉で、その反面呪縛みたいな言葉にはならなかったのかな。
「どうして私の言ったことを繰り返すの」
いつかそう言ってた彼女がここでは「私は大丈夫」彼が自分に言った言葉を繰り返す。
それが彼に対して私は大丈夫だよって伝えたかったようにも、私は大丈夫なんだって自分に言い聞かせたようにも思えて。
彼が亡くなったあとも、彼女の人生は彼と共に進んでた。
子供が産まれて、成長して、当たり前に自分たちは歳をとって、年老いていって、そんな二人でも二人の心の繋がりだけは若い頃のまんまだったのかも、とか。
「愛してる」
最後はシンプルな言葉で、静かに、息を引き取るように締めくくられていた。
最後までどうしようも無く惹かれあってた二人が綺麗だなとも思えた。
妊娠、流産、浮気、別れ、再開、浮気、妊娠、ってどう考えたって最低な男だろって思うのに彼女は最後には幸せそうに穏やかに笑ってた。
とっても不思議。
私はこの話を初めに観劇したとき、深夜のドキュメンタリー番組を見た時に似た虚しさを感じてた。
「○月✕日、我々は初めて彼女と出会った」みたいな始まり方をする深夜のドキュメンタリー番組。
世の中のあれこれに触れるドキュメンタリー番組。
こういうの知るの大事だよなぁとは思うけど、理解しようとは考えてみるけど、そこで触れられるものっていうのもただの一遍で結局何も理解には至らないような。
理解の範疇を超えてきてその問題と自分との間に線引きしてしまって触れられないようにしてしまう、みたいな。
初めに観劇した時、なんて書いてるけど結局最後までそんな虚しさみたいなものはどこかに抱えてたのでしんどかった。
そんなことを言っている今も正しく深夜のドキュメンタリー番組とか、実話を元にした映画、なんかが放送されてく。
そう、初めて観劇した時、11月8日、開演前の緊張が開演で吹き飛んだのって、本当にどこか、画面を通して観てるみたいな、そんな感覚があったからなのかも。
でも今となってはこの作品に触れられて本当に良かったと心から思えるし、大切に心に残しておきたいものでもあるし。
それになにより面白かった。
円形のステージで、上手、下手、センター、視点が違うと主人公が変わるような舞台だったなって。
彼の表情が汲み取れると主人公は彼になってしまうし、彼女の表情が汲み取れると主人公は彼女になってしまうし。
それにどうしても、神山さんファンなので神山さんの表情を、神山さんの声を抜き出そうとしてしまったり。
それが少しずつ佳恵さんの表情が見れて、佳恵さんの声を聞けて。
それだけでも舞台の印象はだいぶ変わってるわけだし。
場面の切り替わりは全て呼吸で、大きく息を吸う、振り返る、神山さん主導で息を吸って、佳恵さんがそれに合わせて呼吸して、って場面もあればもちろん逆もあって。
呼吸で場面が変わる、空気を変える、リセットする。
息を大きく吸う、息を大きく吐く。これだけでシーン転換って出来るんだなって。
LUNGS、肺、そんなタイトルの意味にもなるほど納得。
それに二人の掛け合い、スピード感。
それこそ二人の言葉が重なってでも進んでくカップルの喧嘩。
ここまで重なってくものも初めて触れたから、衝撃。
この舞台で好きだなって思ったのは、二人とも二人を指すときに「君と僕」「あなたと私」
絶対に、どの場面であってもどんな言い合いをしていても話し合いをしていても「君」と「あなた」相手を先行してあげてるところ。
ここがなんだか相手をリスペクトしてるような関係性が垣間見えるようで好きだった。
「エンタメを浴びた」という衝撃よりは「現実を突きつけられた」鈍痛が走ったような舞台、でした。私にとっては。
なんて、初めに書いたんですけどね、うん、長すぎて覚えてなくていいんです。
結局のところ超ド級のエンタメで殴られてました。
舞台ってすごいね。
急に感想小学生。
あとほんの少しだけお付き合い下さい。
無事に迎えた千穐楽。
神山さんは最後にガッツポーズをしていて、その姿を見た瞬間に泣いてしまった。
神山さんのこと好きになれて幸せだなって心の底から思えた。
そんなつもりは無かったっていうけど最後に挨拶をしてくれたお二人。
まずは神山さんが佳恵さんにありがとうって伝えていて。
「今日来てくれた方、今までに来てくれた方、時間が合わなくて来れなかった方にも、この作品を知ってもらえてよかった」
「自分たちも演じる度心に傷を負っていた」
「ここからはジャニーズWEST神山智洋として年末走り抜けます」
って言うの、やっと神山さんが戻ってくる、って思ったりもした。
「自分的には順風満帆ではなかったけど、佳恵ちゃんが参加してくれてよかった」
なんかそんな風に挨拶してる神山さん観てたらびっくりするくらい涙ボロボロこぼれてた。
ほんと何の涙なのか意味がわからないの。
それに佳恵さんは「やめて!」って言いながら「ありがとうございました!帰る!あとまかせた!!」って本当に帰っちゃうの最後の最後まで愛しすぎる主演女優さんだった。
可愛い。
LUNGS、本当に最初観た時はもう無理、って思ったし、これをあと明日も、なんて思ってた。
でも触れれば触れるほど知りたくなって、こんな長すぎるブログ書いてみちゃうほど残しておきたいものになって。
千穐楽迎えて、「これで終わりだ」って安心感があった気がする。
でももう二人に会えないんだなって寂しさもある。
でも結局一番大きかったのは神山さんのファンになれて良かったなぁって誇らしい気持ち。
なんだか素晴らしい人に出会って、素晴らしい人のファンになったみたい。
残された余白は埋められないままだけど、最後はただのオタクに戻って終わります。
神山さんありがとう大好き!!
神山さんがたくさんこれでもかってくらいたくさん、メンバーに褒められてたらそれでいい。ね!